『バビロニア・ウェーブ』


ここ数日、良質な睡眠薬となっていた難物。

3光日と言う太陽系近傍*1に発見された、
直径1200Km全長5380光年と言う膨大な大きさを持つ見えないレーザーの柱、
バビロニアウェーブ」
コレを活用する事によりエネルギー問題を一気に解決した地球。
このエネルギーを取得する基地のひとつからの供給が止まったことにより、
その基地に向かっていたシャトルの乗組員「マキタ」は物語に巻き込まれることになる

あらすじ的にはこんな感じ。
アイディアは魅力的。
だが、
圧倒的に展開が退屈。


淡々と重なりゆく事件と事実によって深まるバビロニアウェーブの謎、
しかし、主人公のマキタに振られた役割は探偵役ではない。
多少は積極的に動いて、事実の発見に手を貸すものの本質的には傍観者なのだ。
物語の最後付近になって在るモノによってバビロニアウェーブの正体の一端が解き明かされる。


結局、
この作品は「バビロニアウェーブ」と言う作者の思いついたアイディアを
ひたすら解説するだけになっている。
最後におまけ的に付加されている、解き明かされた正体を使った探索。
ココから物語が始まって、壮大なスペースオペラが展開してもよさそうな物だが…


「ヤマトで言うところのワープ理論、ガンダムのミノフスキー物理学の
 開発史だけを見せられた様な気分」
と言ったら、この気分が分かってもらえるだろうか?


アイディアは素晴らしい、科学考証としても面白いネタである
それは認めよう。
でも、entertainmentとしてどうなのよ?と、
どうせハードSFなんてゴリゴリの趣味人しか買わないから構わないと言うなら、
今後この作者の作品の読者が減りました。
で終わりにするしかない。



バビロニア・ウェーブ

バビロニア・ウェーブ

*1:広義には太陽系内